2026年度(令和8年度)税制改正【法人課税編】主要ポイント総まとめ

令和8年度(2026年度)の税制改正では、「物価高への対応」と「強い経済の実現」を基本方針に、法人課税に関して投資促進・賃上げ支援・財源確保の各面で多くの企業に影響する変更が盛り込まれました。本記事では、経営者がいま押さえておくべき法人課税の主要ポイントを整理します。

※本記事は令和8年度税制改正大綱および関連資料に基づく一般的な情報です。細部は施行令・通達等で確定するため、実際の適用は最新情報をもとに顧問税理士にご確認ください。
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税理士等の専門家と連携し、現行の税制に沿った対策のみをご紹介
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目次

① 賃上げ促進税制の再編|大企業向けは廃止、中小向けは継続

賃上げ促進税制は、大企業向け措置に特化した見直しではなく、中小企業向けに重点化する形で再編されます。

  • 全法人向け(大企業向け)措置は、令和8年3月31日をもって廃止
  • 従業員2,000人以下の中堅企業向け措置は、令和9年3月31日をもって廃止(1年間のみの経過的適用。控除率の要件が賃上げ3%→4%以上に引上げ)
  • 中小企業向け措置は継続(ただし教育訓練費に係る上乗せ措置は廃止)
  • 適用時期は令和8年4月1日以後に開始する事業年度から

大企業・中堅企業は賃上げによる税額控除が受けられなくなるため、影響額の試算と対応が必要です。

② 特定生産性向上設備等投資促進税制の創設|大型投資向けの新制度

生産性向上を通じた経済成長を促すため、大規模な設備投資に対して即時償却または税額控除を選択できる新制度が創設されます。

  • 投資額要件:35億円以上(中小企業者・農業協同組合等は5億円以上)
  • 投資利益率要件:年平均15%以上
  • 対象設備:機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェア(一定規模以上)
  • 税制措置:即時償却(取得価額100%)または税額控除7%(建物等は4%)の選択適用
  • 控除上限:法人税額の20%、超過額は3年繰越
  • 適用時期:産業競争力強化法改正法の施行日から令和11年3月31日まで

即時償却と税額控除のどちらが有利か、資金繰り・税負担のシミュレーションが重要になります。

③ 研究開発税制|「戦略技術領域型」の創設と一般型の見直し

  • 戦略技術領域型の創設:AI・先端ロボット、量子、半導体・通信、バイオ・ヘルスケア、フュージョンエネルギー、宇宙などの重点技術に係る研究開発について、税額控除率40%(共同研究等は50%)、控除上限は法人税額の10%。重点研究開発計画の認定を受けた法人が対象で、認定日から5年間適用。
  • 一般型の見直し:控除率の算式を見直したうえで、控除上限の特例(最大35%)などを3年延長。

④ 少額減価償却資産の特例|取得価額を40万円未満に引上げ

中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例が拡充されます。

  • 取得価額基準:30万円未満 → 40万円未満に引上げ(令和8年4月1日以後取得分)
  • 年間合計限度額:300万円は維持
  • 対象法人:常時使用する従業員数が400人超の法人を除外(従来は500人超)
  • 適用期限を3年延長(令和11年3月31日まで)

30万円以上40万円未満の資産は、改正後(令和8年4月以降)に取得すると一括で損金算入できる可能性があります。

⑤ 防衛特別法人税の施行|法人税額への上乗せ課税

防衛力強化の財源確保のため、法人税額への付加税として防衛特別法人税が課されます。

  • 仕組み:基準法人税額から年500万円を差し引いた金額に対し、**4%**の付加課税
  • 対象:2026年(令和8年)4月1日以後に開始する事業年度から
  • 注意点:基礎控除(年500万円)により税額がゼロでも、申告書の提出が必要です

実質的に法人税負担の増加となるため、資金計画への織り込みが必要です。

⑥ その他の主な法人課税の改正

  • オープンイノベーション促進税制の延長・拡充:スタートアップとの協業促進のため、取得価額要件の引上げ(増資特定株式は中小企業者以外1億円以上→2億円以上、M&A型は5億円以上→7億円以上)やM&A型のマイノリティ取得の対象化を行い、適用期限を2年延長。
  • 大企業の特定税額控除の適用除外規定の見直し・延長:所得が増加しているのに投資・賃上げに消極的な企業について、一定の租税特別措置の適用を停止する措置を見直し、2年延長。
  • 企業グループ間取引に係る書類保存の特例の創設:関連者との一定の取引(特定取引)について、対価の算定方法等を明らかにする書類の取得・作成・保存義務が課されます。保存が適切でない場合は青色申告の承認取消事由等となり得ます。

⑦ 継続して活用できる主な設備投資関連制度

  • 中小企業経営強化税制:令和7年度改正で見直しのうえ、適用期限が2027年3月31日まで延長されています(即時償却または税額控除。デジタル化設備=C類型は廃止済み、暗号資産マイニング業用設備は対象外)。
  • 中小企業投資促進税制:同じく2027年3月31日まで延長。機械装置等の取得で税額控除・特別償却が可能。
  • 高度な資源循環投資促進税制:脱炭素・資源循環に向けて創設された制度で、認定計画に基づく特定設備の取得に特別償却が可能。ESG・環境経営の観点でも活用できます。

⑧ 新リース会計基準への対応

新しいリース会計基準では、原則としてすべてのリース取引をオンバランス処理(資産・負債として計上)することが求められます(強制適用は2027年4月以後開始事業年度)。これにより、従来オフバランスだったオペレーティングリースも貸借対照表に影響し、建物の賃貸借やサービス契約の一部も対象となるため、契約の洗い出しが必要です。会計基準と税務処理に乖離が生じる場合は申告調整が必要となるため、リース契約ごとの取扱いを専門家と確認しておくことが重要です。

まとめ

令和8年度の法人課税改正は、単なる「節税テクニック」の変更ではなく、賃上げ・投資・研究開発といった前向きな取り組みを後押しする方向と、防衛財源確保による負担増の両面を持ちます。設備投資は本来、未来の利益創出を見据えた戦略的な意思決定であり、節税のみを目的に行うべきものではありません。制度を活用しつつ、最終的には企業価値の向上につなげることが重要です。各制度は要件が細かく、適用ミスのリスクもあるため、税理士等の専門家と連携して制度を活用することをおすすめします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務に関する個別具体的な助言ではありません。税制は今後の法令・通達等で細部が確定し、内容が変更される可能性があります。実行にあたっては顧問税理士等の専門家に最新の内容をご確認ください。
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